稲村先生のお申し出がありました。
「ご主人の解剖をお願いできませんでしょうか?」
私は、戸惑いつつも暫く考えました。
2度目の手術の時、折目さんは
『稲村先生に下駄を預ける!』
と、言っていたので、先生の申し出通りにすることが、
果たして… 折目さんの遺志になるのだろうか?
…等と考えていると、
「せっちゃんの気持ちでいいよ!」
と、義兄が言ってくれたのです。
私は、
「先生、このまま家に連れて帰りたいと思います。」
と、自分の気持ちを伝えました。
先生は
「分かりました。では、その準備を致します。」
と、受け入れて下さいました。