最期への甘受

午前5時50分頃、稲村先生が出てこられて、
私達にこう告げました。

「色々な方向から、検討しましたが…
手術は無理だという判断を致しました。
お昼頃まで持ってくだされば・・・・・・」

義父と義母は、倒れこむようにベンチに座り‥
義兄が私の肩を抱きしめてくれました。

誰ひとり、言葉を失っていました!

 

この時の光景は、今思い出すだけでも
胸に鋭い痛みが走ります。

私の頭によぎったことといえば、
『今日は労働組合の長濱委員長がお見舞いに
来てくださることになっていたので、先ずは、
彼の職場に連絡をしなければ…
粗相の無いように対応しなければ…
折目さんが恥ずかしくないように対応しなければ…』
などの思いでした。

 

義父がその私に気がついたように
「憲幸の変わりにお前が対応してくれ!」
と、言いました。

しっかりしなければ!
と、自分に言い聞かせ、7時になるのを待って、
榎坂部長に連絡をさせて頂きました。そして…
医師に告げられたことをそのままお伝えしました。 

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