手術の同意..

翌日の夕方に手術の説明がありました。
折目さんと義父と私の3人で部屋に入り説明を受けた後、
義父が、
「憲幸、部屋に帰っとけ!」
と、折目さんを病室に返しました。

義父が、
「全部の腫瘍を取れますか?」
と、訊ねると、先生は、
「さまざまな、機能を司る神経の間に出来ているので、
全部は無理でしょう。それは…
万が一小さな神経を傷つけた場合、 障害が残るからです。」

と、お応えになりました。

暫く沈黙が続き、承諾書へのサインを促されました。
家族の署名欄に義父がサインをしました。

病室に戻ると折目さんが、
「サインはせっちゃんがした?」
と、聞かれたので、
「ううん、お義父さんがしてくれたよ!」
と、答えるとサーッとナースステーションに向かいました。

承諾書の書き換えを申し出たようです。

改めて承諾書を持参し、義父に
「ここは、親父の名前じゃない! せっちゃんの名前やろ!」
と、私にサインをさせました。

隣にいた義父の
「どっちでも、一緒や!」
とのひと言に、折目さんは、
「親父、もう俺のことは、せっちゃんなんよ!」
と、強い口調で返していました。

いつもは、冷静で穏やかな折目さんが
義父に 強い口調で返したのは、どうしようもなく
抑えられない気持ちを父親にぶつけたのだろうな..
と、今となっては・・思い起こしています。

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