不穏な予感は…

いつもの面会時間…


「今日は誕生日やないか!?
俺は、大丈夫やけ、有里と安里と一緒に過ごしてくれ!」

と言いますが、

「いいって!
みんなでクリスマスとバースデー用に一緒にケーキを作るらしいし!」

となだめ、数時間を過ごしました。

夕食を終え、点滴を押しながら、歯磨きのために洗面所へ..
歯磨きを終え、眼鏡をはずし顔を洗いタオルで拭いた後、
眼鏡にかかった水滴を拭こうとした途端、
                 ポロン・・と..


それは、鼻に当たるパッドといわれる部分でした。
力を入れたわけでもないのに、はずれたことに
私は、とてもとても、いやぁな気持ちになりました。
が…決して顔に出してはいけないと戒め、

「退院したら、新しい眼鏡を買いにいこう!」
と明るく言うと、

「看護婦さんにテープをもらってこい!」
と返してきました。

訳を話しテープを頂いてくると、外れたパッドを
テープで眼鏡に貼り付けました。
その眼鏡をはめた折目さんは、


「早く、帰れ!
そして、有里と安里に、『誕生日、おめでとう!』と、伝えてくれ!」


点滴をしていない方の手で、私の肩を押しながら、
「早く、帰って、有里と安里と過ごしてくれ!」

と、強引に言います。
 

私は、
「分かった、じゃあ、帰るね!また、明日ね!」
そう言い、病室の方々にご挨拶をし、病室を出て、
その日だけは、タクシーで、帰りました。

 

帰宅すると、姉夫婦と二人の姪っ子と共に
有里と安里が、楽しそうに過ごしていました。

義兄にも感謝の気持ちで一杯でした。
常に、姪っ子達と同じように有里と安里に接してくれて..

 

部屋の中は、幼稚園のように可愛らしく、飾っていました。

姉夫婦と姪っ子たちへ感謝の気持ちで胸が熱くなりました。

 

楽しく25日を過ごして、眠りに着きました。
…が、朝方の電話のベルにビクッ!と目が覚めました。
と同時に、姉の声!


「お待ち下さいませ!」

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