1989年(昭和64年)
それは…
娘たちが4歳と3歳になったばかりの頃
時折、折目さんが
「頭が痛い、なんとなく見えにくい」
と、訴えるようになりました。
福岡でも有名な眼科に行きましたが、
異常はないとの診断だった為、
さほどの心配はないままにありました。
そんなある日の夕方
娘たちをお風呂に入れ終わった頃に、
電話がありました。折目さんは低い声で、
「左目が真っ暗!」
「え何
」
と、聞き返すと
「左目が真っ暗!」
と同じ言葉を繰り返しました。
気が動転し、それ以外は憶えていませんが、
「タクシーで帰ってきて!」
と、応えたことはかすかに記憶にあります。
それから、私は娘たちを寝かせつけ、不安な気持ちで
折目さんの帰りを待ちました。
電話から2時間程過ぎた頃…玄関のチャイムが鳴りました!
私は、震える思いでドアを開けると…
青ざめた顔の折目さんが立っていました。
部屋に入り、スーツを 脱ぎながら茶封筒を差し出してき、
「九州大学病院の紹介状」
と、力なく発しつ椅子に腰掛けうなだれました。
それから、何が起きたのか?彼の説明を聞くことに..
昼過ぎに左目が見えなくなって、会社の人の同行により、
新天町の眼科で診察を受けると、
「『真っ暗になった原因が分からないので、九大で検査を
受けて下さい』と紹介状を貰い、検査日の予約もしてきた。」
と...
暗く不安な気持ちが‥ 押し寄せたことを思い出します。